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【ゆすらうめ異聞】の管理人による何でもあり☆ボーダーレス(笑)裏日記です。戯れ言つづり、とも言う?
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珍しくも、BLレビューです(笑)。

kuromozu 5

花郎藤子さんのBL小説「黒羽と鵙目」(イラスト=石原理さん)を、5巻まで読みました。おととしの春にまとめて買ったものの、その直後に読み始めた『春抱き』にすっかりはまり、本棚の隅っこに放置されていた本です(笑)。現在は、7巻まで出ているらしいです。

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ストーリーは、いたって単純明快(笑)。

横浜をしきるヤクザ・黒羽組の組長、黒羽斉彬と、腕っぷしの強い美貌の鵙目隆之は、かつて少年院で知り合った。孤高で誰にも与しない鵙目を、黒羽は圧倒的な力で押し倒し、自分のものにする(ちなみに強姦です、犯罪です)。・・・というのがなれそめ。

時は流れて、ふたりは30歳を過ぎたところで再会。ワケあって黒羽組に敵対する暴力団に関与していた鵙目は、その組の離散にともなって黒羽に拉致監禁され、そのままずるずると・・・。

結局、好きなんですけど(笑)。

反発しつつ、ときどき逃げ出しながらも、最後は黒羽の傍若無人な魅力に抗えず、諦念も交えて、一緒に(本人としてはつかず離れず)生きて行くようになる鵙目。っていう構図ですね。

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BLヤクザものにありがちなパターンのひとつ、ではあると思います。

豪快で不遜で、世の中怖いものなしの野獣みたいな攻め(笑)。当然ながら、絶倫で女にもてる(笑)。強引でとんでもないヤローですが、恥ずかしげもなく、あふれるほどの愛情を注ぐってタイプ。(たとえば「最凶の恋人」もそうですね。)

そう、黒羽はある意味、BLの攻めキャラの王道を行ってます(笑)。ワルの王子さまなんだよね。だからカッコいいけど平凡なの。

対する鵙目は、いろんな意味で非・典型的受けキャラ(笑)。ケンカがめっぽう強く、黒羽に依存しない、馴れ合わない。黒羽に対してだけ女になるけど(と自分でもそう言ってる)、腐れ縁の彼女がいるし、面倒見がよくってその辺で拾ってきた10代のガキの擬似・パパもどきをやってる。おまけに薄幸の姉に、やや近親相姦的なほどの献身を見せる。
5巻までの「クロモズ」に、アマゾンのレビューみたいに星をつけるとしたら、わたしは★★★つけると思います(笑)。

(ちなみに言うまでもないですが、『春抱き』は常に★★★★★ですよ。当然。『春抱き』関連で★を減らしたことがあるのは、例のがっかりDVDだけです。)

黒羽と鵙目の関係は、けっこうオトナでいいんです。35歳くらいの設定なので、あたりまえかな。自分の食い扶持も稼げない、世の中を知らないコドモが好いたの惚れたのって、恋にうつつを抜かすBLはキライなので(というかバカバカしくて読めない!)、このくらいオトナでちょうどいいです(笑)。

でもなんか、希薄なんだなあ(苦笑)。

性描写がさらっとしてるのが、いけないわけじゃないんです。一種の抑えた色気があるので、それはそれでいいと思う。問題はそこじゃなくて、ふたりの思いが・・・なんというか、お話のほかの登場人物に、彼らのエネルギーが吸い取られちゃってる感じ?(笑)

落ち着いた夫婦っぽいノリなら、それでもいいけど。

どっちかっていうと、不良息子・娘に生活を引っ掻き回されて、そっちに気をとられて、肝心の夫婦の関係が「お父さんとお母さん」メインになっちゃってる・・・って気がします(爆)。

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もちろん、彼らの本物の子供じゃなくって、鵙目がなんだか親みたいに面倒を見てる、鳩子とマサルっていうどっちも20歳前のガキ。

鳩子は家出娘で(親が警察の偉いさん)、奔放といえば聞こえはいいけど、とにかく非常識でマテリアルでトラブルメーカー。マサルはまあ・・・ひどい言い方をすれば、人生なにをやっても上手くいかない、ダメダメ少年(苦笑)。鳩子ほど狡猾じゃないけど、でもやっぱり、あっちこっちで事件を起こしてくるのね。

彼らが、単にお話のスパイス程度じゃなくて、クロモズのメインストーリーをなしてるんだよねえ。これが、問題だと思います(笑)。

読者が、この二人を「どうしようもないやつらだけど、かわいいなあ~」と思えるなら、クロモズは楽しいと思う。一種の擬似ファミリー・ラブコメとして、笑って読めると思います。

だけど、このコドモたちを、そう好意的に受け止められなかったら。騒々しくて下品で考えなしのバカだとしか思えなかったら、その時点で、クロモズへの愛情は冷めると思いますね(笑)。だって、こんなコドモたちの世話を焼く鵙目の価値観がわからないし、それを嬉しそうに見守る黒羽も、間抜けに見えてしまいますから。

おまけに、まだ問題キャラがいます(笑)。

鵙目の、まったく大人しいだけの美貌の姉上と、その彼女の婚約者の前田。この彼、実は神経症もちで、かつて鵙目を愛するあまり刺したことがあるという過去の持ち主。鵙目のそばにいたいという理由で、彼の姉にプロポーズしたんだよね。

この二人も、申し訳ないけど、わたしには薄気味悪いんです(苦笑)。お騒がせキャラがイヤなんじゃなくて、人間としての厚みというか、要するに魅力のないキャラだから、抵抗を感じるんだと思う。うざったいからどっか行ってよ、って思ってしまうのね(笑)。

鵙目に絡んでくる主要な脇キャラのすべて、好きになれない・・・これってけっこう、致命的です(笑)。(ちゃんと好きなキャラもいます。鵙目の彼女しずかと、男鹿っていうワケあり刑事。彼らがどれだけ波を立てても、全然いやになりません。)

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なんか、酷評してる、わたし?(笑)

クロモズふたりのキャラが魅力的で、なかなかおもしろい設定だけに、「脱線しっぱなし」に思えるのが残念。ふたりの関係を、ちゃんとふたりを中心に書いてくれればなあ、と何度も思いました。

(『春抱き』フリークとしての感想>> お互いがお互いを好きなのはわかるけど、でも、ほかに心を寄せる相手もいる・・・ってのがイマイチです。黒羽には女がいっぱいいるし、鵙目もね、彼女にプロポーズしてみたり、前田に乞われてキスしたりするんだよねえ。「でも結局はおまえだけ」って、作者が言いたいのはわかるんですが。)

・・・あ、ちなみに、ヤクザらしい痛い場面(人を殺すとか、指をつめるとか)は、ほとんど出てきません。それだけは助かります(笑)。

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そんなわけで。思いがけず、長くなりました(笑)。

クロモズは、「いろいろ事情を抱えてて、素直に恋愛だけに没頭できない大人の男」のお話。そう思って読めば、いいんじゃないかなあ。

『春抱き』変換度=ほとんどなし

(岩城さんが鵙目の役を演じるのはアリ。香藤くんは黒羽とキャラ違いすぎなので、役が回ってこないと思います。)
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